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『feeling of love / youhei shimizu』が音ゲーで一番好きな曲

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「feeling of love」は2000年に稼働したアーケードゲームbeatmania III」の収録曲。楽曲解禁を必要とせず初期状態からプレイ可能な、いわゆるデフォルト曲である。楽曲レベルはshikomiモードでは☆5。このゲームにおいては中級者向けの難易度に設定されている。

作曲者はyouhei shimizu氏。初代pop'n musicからサウンドプログラマーを務めており、同作収録の「Quick Master」がコンポーザーとしての初提供曲。本人曰く楽曲に「日本人好みする和音配置」を使用しており、その言葉に偽りなく提供曲は印象に残るコード進行とメロディが特徴的であり、この「feeling of love」も例外ではない。(※個人の感想です)総提供曲数こそ少ないものの、琴線に触れるメロディを活かした楽曲群はどれも名曲揃い。(※個人の感想です)

アーケード音楽ゲームのパイオニアとなったbeatmania初代シリーズの正統後継機が「beatmania III」であったが、先行出荷分の筐体のみが市場に出回ったのみで出荷終了しており、当時から稼働筐体数は少なかった。2017年現在で現存している筐体はごく少数。

そんなbeatmania IIIという作品において燦然と輝いていた楽曲が、「feeling of love」である。


2000年当時、初代beatmaniaの後継機である「beatmania IIDX」はゲーム性を難易度上昇にシフトさせつつあったのと、収録楽曲をユーロビート、トランスなどの高揚感のあるジャンルの採用を多くしていた。当時の私は…まぁいわゆる硬派厨というやつで、そういった状況をあまり好ましく思っていなかった。譜面の難しさよりもキー音を一音一音楽しみたい、渋い曲を楽しみたい…という嗜好だ。若さゆえの逆張りやひねくれ根性もあり、痛々しさを覚える記憶である。しかし当時はそれで良いと思っていた。

世は音ゲーバブル後期、様々な機種がリリースされる中、「beatmania III」が稼働開始していた。そこには、初代beatmaniaが正統進化した姿があった。

解像度が上がったモニタ、遥かにグレードアップした音質、フットペダルやエフェクタといった新要素、プレイデータ保存の先駆けとなったフロッピーディスクドライブ搭載…と、筐体が恐ろしく進化していることに驚愕し、次世代のbeatmaniaに心躍った。楽曲もバラエティ豊富かつIIDXほどミーハーでない(当時の主観)良い曲が揃っていて、なおかつそれまでの楽曲もちゃんと収録され、非の打ち所が無かった。これこそが自分がプレイしたかったbeatmaniaだと確信したし、実際狂ったようにプレイしていた。データを保存したフロッピーディスクを常に持ち歩いていた時期もあったほどである。

そんな中で出会ったのがこのfeeling of loveだった。

feeling of loveの前に書いておかなければならない曲のことがある。私がbeatmaniaにハマるキッカケとなった楽曲、「20,november」である。


beatmania - 20, november(single mix)

老人音ゲーマーであればこの曲と譜面の洗礼を受けた者も多いだろうと思う。未だにこの曲は譜面を完全暗記しているが、これは私だけでなくそこそこ居るはず。1分半の中で譜面のフェーズが切り替わり、リズムトラックとピアノバッキングを叩かせる譜面がスイッチしていく。当時としては高難易度の譜面であったし、私も攻略に熱を上げていた。

なおかつ曲もジャジーなコード進行にピアノ、ブラスが映えるハウスミュージックで良い曲なのだ。ソウルフルなボーカルが入る所である曲の後半部と共に譜面も盛り上がりを迎え、音楽ゲームならではの高揚感が表現されている。このゲームにおいて20,novemberという曲は現在に続く音ゲーの礎でありエポックメイキングと言えるものであった。

というわけで、昔から20,novemberが大好きだったこともあり、ハウス系の楽曲は好んでいた上で「feeling of love」に出会った。ハウスにしては若干早めのBPMで、4つ打ちでハネたビートにエモーショナルなボーカル、そしてシャープな音色のピアノが印象的で…もう一瞬で好きになってしまった。

特に、ピアノのバッキングはIIIの筐体だと綺麗に響くのである…いやこれ動画では全くもって伝わらないのだが、本当に美しい音が筐体から鳴るのだ。pop'n musicやDanceDanceRevolutionに収録されていた時期もあったが、ピアノの芯のあるきらびやかな音色はbeatmania IIIの筐体でしか味わえないと断言出来る。beatmania IIIの筐体の音質は過去から現在に至るまでの全ての音ゲー筐体の中で一番だと信じているし、2000年当時にこれが存在していたことが驚異的だ。まさにオーパーツである。

前述したように、この曲の作曲者であるyouhei shimizu氏はサウンドプログラマーでもあり、beatmania IIIにおいてもエフェクター周りについて公式HPで解説していたほど。だからこそ、beatmania III筐体の音質への拘りがあり、自身の楽曲をより美しく筐体で鳴らせるように調整したのではないか…?という所まで妄想してしまう。

美しい音が鳴る曲をゲームとしてプレイ出来る陶酔感があり、譜面配置も演奏感があり程よい難易度。音楽ゲームの楽曲としての美しさが全て詰まっている曲だと本気で思っている。クリア狙いの粘着プレイは抜きにして、恐らくは人生で最もプレイした音ゲー曲である。

それ以外に、この曲に救われたとか、歌詞が良いとか、そういう要素は全くない。ただ、純粋に音楽ゲームの楽曲として好き。愛している。そういう曲。

音ゲーの曲は演奏をゲームとして体験、達成することが音楽への付加要素になり、それが思い入れに変化していくもののような気がしている。楽しいと感じる譜面をプレイすることであったり、難しい譜面を苦労してクリアすること…そういった体験が楽曲への感情を付加していく。そういった音楽に対するインタラクティブ性が音ゲーの魅力なのだと思うし、20年以上プレイし続けても止められない理由のひとつなのだろう。

このfeeling of loveという曲は、私にとっていつまでも色褪せることのないマスターピースであり、一番好きな音ゲーの曲だということを書いておきたかった。ただ、それだけの文章である。

(冒頭の動画は私がプレイしたものを使用しています。中盤のスネアが繋がってない!)